2008年09月07日

新たな冷戦

北京オリンピックが開幕した2008年8月8日、グルジア共和国は同国からの分離独立を図る南オセチア自治州に武力侵攻、これに対しロシア連邦が軍事介入しました。
ロシアは南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認し、グルジアはロシアとの外交関係断絶を表明。事態は混迷を深めています。

スターリンの出身国として知られるグルジア。ソビエト社会主義共和国連邦の崩壊によって独立し、親欧米路線を強めています。
旧東欧諸国が次々とNATO(北大西洋条約機構)に加盟し、ポーランドにはアメリカのMD(ミサイル防衛システム)が導入されました。欧米諸国の包囲網に警戒を強めるロシア。これは新たな冷戦の幕開けなのでしょうか。



ロシア語られない戦争 常岡浩介 著

ロシアとグルジアの対立は、チェチェン紛争とも無関係ではありません。
グルジアはチェチェン紛争に中立的な立場をとっていますが、チェチェン独立派がグルジア国内を移動することを事実上黙認しています。
チェチェン人はイスラム神秘主義(スーフィ)を信奉する、カフカース地方(黒海とカスピ海に挟まれた地域)の先住民族。チェチェン独立派は、自らを聖戦士(ムジャヘッド)と呼んでいます。

日本で報道されるチェチェン紛争はロシア側の主張ばかりであるとして、チェチェン・ゲリラに従軍取材したのは、ジャーナリストの常岡浩介氏。
数々の戦地を訪れてきた常岡氏にとっても、チェチェンでの取材は生死の淵をさまよう苛酷なものでした。三週間も食糧補給がなく、極限の飢えと渇きのなかでカフカス山脈を行軍。その間、仲間たちは敵弾で次々と命を落とします。
生き残った者も、その後の戦闘やロシア軍の掃討作戦によって「殉教」したそうです。

本書は終始チェチェン人側の立場から書かれており、著者自身、この本一冊でロシアについての理解を完結すべきではないと語っています。それでもロシアの民族紛争の実態に迫った、貴重な記録であることに変わりはありません。
巻末には、2006年11月にロンドンで放射性物質ポロにウムを盛られて暗殺されたアレクサンドル・リトビネンコ氏のインタビューを掲載。FSB(旧KGB)の不気味さが印象に残ります…

(9月1日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
リトビネンコ氏は、なぜ殺された?
ロシアより“哀”をこめて


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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