2008年12月15日

「埋蔵金男」の告白

12月1日に発表された、2008ユーキャン新語・流行語大賞。身近で「グ〜」なんて言ってる人を見たことはありませんが、「埋蔵金」「居酒屋タクシー」「あなたとは違うんです」など、政治から生まれた言葉が多かったのは印象的でした。
霞ヶ関埋蔵金の存在を暴いたのが、財務官僚だった高橋洋一氏です。



さらば財務省! 高橋洋一

高橋洋一氏は1980年、大蔵省(現・財務省)に入省しました。
東大法学部同窓会のような財務省において、東大理学部数学科出身の高橋氏は、まさに異色の存在です(大蔵省の採用には「変人枠」があるとか)。
中学生で大学レベルの数学を理解できたという高橋氏は、研究者の道を志していたのですが、ゼミ仲間がみんな公務員試験を受けるというので、ついでに受けたところ見事合格。官僚への道を歩み始めます。

数学とは縁のない世界に入ってしまったと少し後悔した高橋氏ですが、大蔵省で頭角を現すきっかけとなったのは、天性の数学の才能でした。
大蔵省が郵便貯金を借り入れて、政府金融機関や特殊法人に融資する財政投融資(財投)。高橋氏は、財投が全く金利リスクを考慮していないことに気付いたのです。大蔵省にリスク管理システム(ALM=Asset Liability Management)を導入した高橋氏は、大蔵省中興の祖とまで呼ばれました。

高橋氏の人生を大きく変えたのが、入省三年目に大蔵省に出向してきた、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)の竹中平蔵氏との出会いでした。小泉内閣が発足し、竹中氏が経済財政政策担当大臣に就任すると、高橋氏は旧知の竹中氏からブレーンとして招かれます。
日本道路公団の民営化論争では、債務超過だとされた道路公団が、将来の収入を含めて計算すると資産超過であることを明らかにし、民営化を大きく前進させました。
そして郵政民営化では、郵便・郵貯・簡保に窓口業務を行う郵便局会社を加えた四分社化を提案し、民営化に移行する際のシステム構築に尽力しました。

麻生太郎首相は、3年後の消費税率アップに言及しています。
日本の政界には、経済成長によって増収を目指す「上げ潮派」と、消費税率アップによって財政再建を図る「財政タカ派」があります。さて、日本の財政は本当に危機に瀕しているのでしょうか?
日本国は800兆円もの債務を抱えていますが、一方で500兆円に上る多額の資産も保有しています。日本の財政赤字が騒がれて日本の国債の格付けが引き下げられた際に、財務省は「日本は財政危機ではない」と反論しました。財務省は「埋蔵金」の存在を認めたのです(ただし、年金制度は破綻寸前)。
財政再建のシナリオは、まずデフレ脱却⇒政府資産の圧縮⇒歳出削減⇒制度改革。そして最後が増税です。

官僚すべてを敵に回した高橋氏。もう霞ヶ関には戻れなくなりました。しかしコンテンツ・クリエーターとして多くの政策を実現した高橋氏に、心残りはありません。
変人宰相と呼ばれた小泉純一郎氏は、変人とは変革する人のことだと切り返しました。ただし、変人が常に大物になれるわけではありません。変人が変革者になれたのは、凡人にはない特技(高橋氏の場合は数学)があったからだと思います。

(12月14日読了)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 18:30| Comment(0) | TrackBack(2) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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