2009年07月06日

300km/hのテクノロジー

文学部出身の文系人間が営んでいる不純文學交遊録ですが、管理人には「メカ萌え」の傾向がありまして、最新のテクノロジーには強く惹かれます。
これまでメカ関係は、クルマネタが多かったですが、今回は鉄道です。
鉄道マニアは「鉄ちゃん」とか「テツ」と呼ばれ、その楽しみ方も旅行や車両研究のみならず、模型や写真撮影など多岐に渡ります。最近では、女性の鉄道マニア「鉄子さん」も少なくないとか。



図解・TGV vs.新幹線

佐藤芳彦 著

世界を代表する高速鉄道は、日本の新幹線とフランスのTGV(Train a Grande Vitesse)です。しかし、輸送量重視の新幹線と速度重視のTGVとでは、設計思想が大きく異なります。
人口密度の高い日本は、乗客を大量輸送することが求められます。軌道の幅は新幹線もTGVも同じ(1,435mmの標準軌)ですが、車両は幅・長さ共に新幹線が一回り以上大きく、2人掛け+3人掛けのシート配置を実現しています。TGVは2人掛け+2人掛けです。

新幹線は各車両にモーターを備え(動力分散方式)、TGVは電気機関車で客車を引っ張っています(動力集中方式)。機関車には当然、乗車することが出来ません。ここでも新幹線が、輸送力重視であることがわかります。
現在、非浮上式鉄道(浮上式=リニアモーターカーを除く)の最高速度は、TGVの試験車両が記録した574km/hです。営業最高速度も320km/hのTGVが、300km/hの新幹線(山陽新幹線)を上回っています。しかし加速力では新幹線が勝るため、平均速度は新幹線のほうが速いのです。

世界各国で高速鉄道が計画されていますが、新幹線とTGVは激しい受注競争を繰り広げています。
韓国の高速鉄道は、TGV方式が導入されました。台湾の高速鉄道は、TGVに決まりかけていたところ、大地震を経験したことで、耐震性の高い新幹線が勝利しました。地震国・日本の新幹線は橋梁がガッチリしていますが、地震が少ないフランスのTGVの橋梁は華奢です。
軌道の構造も対照的で、TGVは砕石を敷いたバラスト式にこだわっています。新幹線はコンクリート製のスラブ式を採用、敷設コストは高いもののメンテナンスは容易です(東海道新幹線はバラスト式)。

「世界最速の鉄道」という同じ目標を掲げながら、新幹線とTGVとでは、採用される技術が全く正反対なのが面白いですね。テツの世界は奥が深い!

(6月28日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
2005年4月25日


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 00:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 科学技術交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TGVが動力集中方式を採用しているのは、もともと
フランスだけでなくヨーロッパ全域の鉄道が動力集中方式が殆どだからです。言い換えるなら、機関車が客車を牽くという形です。なぜなら例えば、ドイツの北の町ハンブルクを出発した国際列車が、同じ編成の中でオーストリアのヴィーン行とスイスのチュリッヒ行き、あるいは国内のミュンヒェン行きとかを1本の列車に組み込むことが可能だからです。始発駅を1本の列車で出発しても、分岐駅で客車の編成をバラすことで、各方面行きをスムースに選り分ける、、、それには電車方式より客車方式、つまり動力集中方式が適しているからですね。一方の日本、動力分散方式を採用しているのは、在来線でもそうです。最近では客車列車って、ほとんど無くなりました。
Posted by Nitta at 2009年07月06日 22:49
丁寧な解説をありがとうございます。
鉄道車両の設計思想に、日欧それぞれのお国柄が出ていて、大変面白いです。
日本と欧州とでは、地形や移動距離が異なるだけでなく、国境をまたぐことも大きな違いですね。
起伏やカーブの多い日本の路線は、最高速度よりも、加速力や登坂力が重要なのでしょう。
Posted by 管理人 at 2009年07月07日 22:20
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