2009年09月20日

あなたが王になれるとしたら…

かつて商店街だった廃墟のなかに佇む、古今東西のホラーアイテムを集めた玩具館「三隣亡」。経営するのは年齢不詳の美女・美珠と、ゾンビマニアである兄の
前作『人魚と提琴』から一年余り、石神茉莉氏の玩具館奇譚がシリーズ化されました!



謝肉祭の王
石神茉莉 著

悪魔メフィストフェレスと契約し、魂を渡すことで己の欲望を満たそうとした、ファウスト博士の伝説。ゲーテ、手塚治虫など、多くの作家を魅了し続けてきました。
本作も、その系譜に位置する物語でしょう。一年間、王となれる仮面があったら、あなたは被りますか?

デビュー当初は女子高生作家として注目を集めたものの、ヒット作に恵まれずにいるシングルマザーの林千晶。友人の作家・矢川ルイジから譲り受けた謎の仮面を持って、三隣亡を訪れます。
「この仮面を被ると一年間、王となれる。だが翌年の謝肉祭の日には、処刑される運命が待っている」
仮面を千晶に譲った直後、ルイジは失踪しました。寡作だったルイジが、にわかに流行作家となり、その後失踪したのは、この仮面のせいなのか。
千晶は、恐る恐る仮面を被ります。

これまでになく筆がはかどる千晶。作品は映画化され、千晶自身もマスコミへの露出が増えました。
しかし、映画で主役を演じた新進女優が、物語のラストシーンにシンクロしたかのような投身自殺。さらに連載ホラー小説のモデルにした家族が、物語の進行を後追いするように不幸に見舞われます。
千晶の紡ぎ出した恐怖の物語が、次々と現実化してゆく…作家としての成功と引き換えに、最後は千晶自身の命が奪われてしまうのでしょうか。
美珠は、仮面の呪いを解くことができるのか…

本作最大の謎は、いつまでも歳をとらない「三隣亡」のオーナー・美珠です。
果たして彼女は、この世の者なのか…

(9月7日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
人魚の歌は死の調べ


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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