2009年10月27日

出雲は、出雲だけでない(後編)



QED出雲神伝説

この先、未読の方はご注意ください。

Amazon等のレビューを見ると、作品ごとに評価の上下が激しい『QED』シリーズ。
本作『出雲神伝説』は、スッキリまとまっていると思いました。事件の全貌は早い段階で明らかにされますし、過去の作品の登場人物を無理やり引っ張り出して来ないのも好印象。このところ準レギュラー化していた、毒草師・御名形史紋の出番もありません。一説によると『QED』シリーズは棚旗奈々の妹、沙織が登場しない作品はアタリなんだとか(笑)
ただ、ダイイング・メッセージ(今回は出雲神流の文様)の解釈は、相変わらず強引です。高田先生、ダイイングメッセージを使うのは、ハッキリ言って止めた方が良いのでは?

これまで大和の出雲が本来の出雲であり、出雲王朝は架空の存在と考えられてきました。しかし近年の考古学の成果は、出雲王朝の姿を浮かび上がらせつつあります。
本作の主題である、ふたつの出雲をめぐる推理は大いに楽しめました。もちろん、学術的に正しいかどうかは判りませんが。
タタルは推理の過程で、十分に一冊のネタとなる邪馬台国の謎を軽く解き明かしています。高田氏は、邪馬台国で『QED』を書くつもりはないのかな?

気になる桑原崇と棚旗奈々の関係ですが、本作でとうとう、タタルが奈々を二人きりの旅行に誘います。一方で、タタルの初恋の人である中学時代の恩師・五十嵐弥生先生(『QED〜flumen〜九段坂の春』に登場)が、今後の展開に影響を及ぼしそうです。
巻末には『小説現代メフィスト』に掲載された『QED〜flumen〜出雲大遷宮』も収録されています。こちらは出雲神流事件の後日談となります。とは言っても、9年後ですが。
その頃、タタルと奈々はどうなっているのでしょう?

(10月25日読了)

『芸術新潮』10月号では、梅原猛氏が出雲を旅しています。
こちらも併せて読むとイメージが膨らむでしょう。



芸術新潮 2009年 10月号 [雑誌]

梅原氏はかつて『神々の流竄』を著し、出雲神話はヤマト朝廷による創作だと論じました。今回の旅で、梅原氏はかつての自説を全面撤回。強大な出雲王朝が実在したと主張し、出雲の神々に謝罪しています。
梅原氏の新たな出雲論は、来年にも上梓されるそうです。

【不純文學交遊録・過去記事】
・QEDシリーズ
諏訪は神秘に満ちている
人気シリーズのお約束(笑)
靖國問題解決します!?
カッパなにさま?カッパさま!
三種の神器
世界遺産のミステリ
♪も〜もたろさん、桃太郎さん♪
・毒草師シリーズ
千利休はキリシタン?
昔、毒ありけり


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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