2009年11月16日

ニッポンに希望はあるか(前編)

2009年1月、年越し派遣村なるものが話題となりました。
昨年秋のリーマンショックに端を発した世界金融危機で、企業業績は大幅に悪化。契約を打ち切られる派遣労働者が相次ぎ、彼らは会社の寮を追われて、住むところを失いました。
では、派遣労働を禁止すれば、彼らは晴れて正社員となって問題は解決するのでしょうか?



希望を捨てる勇気
池田信夫 著

人件費を抑えたい企業経営者と、既存社員の雇用を守りたい労働組合。
両者の利害が一致したのは、新卒者を採用しないで、労働力を非正社員に置き換えることでした。
非正規労働者という表現は、変則的な労働形態であるとの誤解を招くので、池田信夫氏は非正社員の語を用いています。

しかし派遣労働を禁止したところで、企業はコストの高い正社員を増やしたりはしません。既存の正社員の残業を増やすか、派遣社員よりも立場の弱いアルバイトで労働力を補うだけで、むしろ雇用を悪化させるでしょう。

新卒で一括採用する日本の雇用慣習では、転職すると生涯収入が大きく目減りし、中途採用の枠も限られています。新卒一発勝負のやり直しがきかない人生では、現在の職場に不満があっても、同じ会社に一生しがみつくしかありません。
そして新卒採用からもれてしまったフリーターは、就職に必要な技術を身につける機会を得られず、いつまでたってもフリーターのままです。閉塞した日本社会をひっくり返すには「戦争しか希望はない」と言う30代フリーター(赤木智弘氏)も現れました。
終身雇用は、日本的経営の良き伝統だと言う人がいます。しかし終身雇用とは、戦後の高度成長期に労働力を囲い込むために生まれた、比較的新しい形態なのです。

これは「経営者」VS「労働者」の階級闘争ではなく、「若年ワーキングプア」VS「高齢ノンワーキングリッチ」による世代間闘争といえます。
マスコミが報じる表面的な「正義」からは、問題の本質は見えてきません。派遣切りされた「かわいそうな人たち」を救うのは、一時的な住まいの提供や、派遣労働の禁止ではなく、硬直化した労働市場を流動化させることです。

(つづく)


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・経済交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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