2010年01月11日

真犯人は別にいる

ミステリには、合作によるものが結構あります。
日本では岡嶋二人、海外ではエラリー・クイーンが有名です。

二階堂黎人と千澤のり子という組み合わせ。この二人は以前、宗形キメラという合作ペンネームで作品を出しています。その作品(『ルームシェア』)は読んでいないのですが、今回はちょっと気になって読んでみました。



レクイエム

桐山真紀子は元警察官。現在は警備会社に勤務する傍ら、私立探偵として活動しています。小柄ながら筋肉質で、勤務中に負った重傷から二度も復帰を果たしたダイハードな女性です。
真紀子は、警備会社の社長である吉田作蔵から、ある事件の再調査を依頼されます。
前年に横浜市の加美の森公園で起きた、幼稚園バス爆破事件。一旦は容疑を認めた被告人が、裁判で自分はやっていないと主張し始めたからです。

被告人・相沢光則は、自宅マンションで爆弾を製造するのが趣味でした。
事件で使用された爆弾は、相沢が製造したものに間違いありません。しかし相沢は、爆弾は何者かが自宅に侵入して盗み出したもので、自分は事件に全く関与していないと言います(もちろん、爆弾の所持は立派な犯罪ですが…)。
事件の再調査は、一日も早く悲劇を忘れたい遺族の感情を逆撫ですることになり、誤認逮捕となれば神奈川県警の面子を潰すことにもなります。
さまざまな妨害に遭いながらも、真紀子は地道に事件の関係者を追跡します。

二階堂黎人といえば、人間を描くことよりもトリックが命の本格原理主義者(?)ですが、本作は人間ドラマが濃厚で、社会派の趣も感じられます。桐山真紀子のひたむきさに、感情移入してしまう作品です。
ただ、いかに犯人が過去の事件のショックで狂っていたとしても、26名もの犠牲者を出した爆破事件の動機としては、ちょっと…

(1月11日読了)★★★★


posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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