2010年09月20日

かぐや姫は火の女神

いまは昔、竹取の翁と云ふものありけり…おなじみ『竹取物語』の冒頭です。
光る竹の節から現れた赤子は美しく成長するも、貴公子たちの求婚を退け、天皇からのお召しをも拒絶し、最後は月の世界へ帰ってしまいます。
しかし『竹取物語』は、単なる異世界ファンタジーではありません。かぐや姫に求婚する五人の貴公子には実在のモデルがおり、非常に政治色が濃い作品であることはよく知られています。

かぐや姫と王権神話

かぐや姫と王権神話

価格:903円(税込、送料別)



本書のサブタイトルは、『竹取物語』・天皇・火山神話。
かぐや姫と火山神話がどう繋がってくるのか、興味が湧きます。
物語のラストで天皇は、かぐや姫の置き土産である不老不死の薬を、富士山の頂で焼き捨ててしまいます。もしかして、かぐや姫の正体は木花咲耶姫だとか…

『竹取物語』を丁寧に読み解いていくと、舞台となった具体的な地名や、竹取の翁を輩出した氏族が明らかになってきます。
そして物語に登場する五人の貴公子は、天武・持統朝に活躍した実在の人物たちです。本書は、天武天皇が創始した宮廷舞踏会(五節舞)が、物語のベースになっているとします。
さらには物語が成立した平安時代前期のリアルな政治事情までもが、『竹取物語』には反映されています。

平安時代前期の日本列島は、火山の活動期でした。富士山の史上最大の噴火(864年)が起きたのも、この頃です。古代の人々は、火山の噴煙に天上の世界を幻視したことでしょう。
『竹取物語』が書かれた時代、それは「神話の時代の終わり」でもありました。神道が国家によってシステム化されるとともに、女性は司祭の地位から追われたのです。
(失われた火山神話を掘り起こす試みは、石黒耀の小説作品にも見られます)

とにかく中身が濃くて面白いので、歴史好き・文学好きには超オススメです。
巻末に『竹取物語』全文が掲載されているのも、嬉しい大サービス!
作者を文官貴族としながらも、誰かは特定していないのは、ちょっと物足りないかな…

(9月20日読了)★★★★★

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posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学・小説交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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