2011年04月30日

縄文の種

小さい頃からずっと思ってきたこと。
それは「農業の担い手は農家でなくてもいい」。

農家は後継者不足。爺ちゃん婆ちゃん母ちゃんの「三ちゃん農業」。
戸数は年々減少し、兼業農家の割合が増えています。
農家一戸あたりの耕地面積は狭く、高コスト。
兼業農家であっても、高価な農機具は自前で揃えます。
みんな休日に農作業をやるから、機械の貸し借りはできません。
農作業に手間隙を掛けられないと、農薬や化学肥料に頼ります。
農薬は害虫だけでなく、天敵である益虫も殺してしまいます。
農薬を撒く人自身の健康や、食品の残留農薬も心配です。

だったら農業は、農家ではなく企業がやればいい。
企業が農場を経営し、サラリーマンである従業員が農作業をする。
そうすれば後継者問題はなくなるし、農家の生まれでなくても農業ができます。
農業を大規模化すれば低コスト化・省エネルギー化が可能になり、農薬の使用も削減。
資本主義の論理を持ち込むことで、かえって環境にやさしい農業を実現するのです。
そもそも農業を始めたことが、人類による環境破壊の始まりでした。
人類の営為である文化(culture)の語源は、耕すこと。いわば農業は原罪です。
人間は都市に住み、農業は効率的に行い、あとは自然の生態系に戻しましょう。

日本は貿易立国であり、輸出だけでなく輸入することも大事な国際貢献です。
ただし、貿易は輸送に余分なエネルギーを消費します(フードマイレージ)。
食料の輸入は水資源の輸入であるとの指摘もあります(バーチャルウォーター)。
では、問います。
日本が輸出した太陽電池で、他国がCO2排出を削減しました。
太陽電池の製造過程で排出されるCO2は、日本が肩代わりしたことになります。
こんなのバカバカしいから、日本は工業製品の輸出をやめるべきでしょうか。
農産物であれ工業製品であれ、最も少ないエネルギーで生産できる国で作る。
それが限りある地球の資源の有効ではありませんか。

食料自給率(特にカロリーベースの自給率)なんて、どうでもいい数値です。
食料が安全に安定的に供給されるなら、国産でも輸入でも構いません。
世界の農業国は、食料を輸出したがっています。
それでも万が一に備えて、コメくらいは自給を維持しても良いでしょう。
私は、日本から農業がなくなっていいとは思いませんから。
日本の農業は生き残って欲しいし、また生き残っていけると思っています。
農業の自由化は、日本の農作物を輸出するチャンスでもあります。

消費税が10%になっても、食料品を非課税にする必要はありません。
農業の保護をやめれば、食料価格は下げられるからです。
(そもそも複数の税率があること自体が無駄な行政コストを生みます)
農林水産省の廃止こそ、最強の景気対策ではないでしょうか。
日本の農業を強化しても、政府の保護なくしては輸入作物に勝てないかもしれません。
その場合は、専業農家に限って所得補償をしても良いでしょう。

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日本の農業は、過剰な保護を止めて世界に市場を開放し、企業の参入による大規模化を促進して、徹底的に自由化・効率化すべきです。
しかし農業の役割は、食料生産だけではありません。水田には水資源の涵養、洪水の防止といった、経済的な指標では計れない機能があります。日本の風土を育んできた昔ながらの田園風景や、里山を守るべきだとの意見もあるでしょう。
そこでアイデアがあります。機械や農薬や化学肥料を使わず、里地里山を保全し、伝統的な農村社会の民俗を継承する農家を、農業としてではなく重要無形文化財として保護すれば良いのです。
高付加価値な作物を少量生産するカリスマ農家は、食育やグリーンツーリズムの担い手ともなるでしょう。税金を投入して保護しなくても、十分に競争力があるかもしれません。

例えば、こんな農家。
平家落人伝説が残る、宮崎県東臼杵郡椎葉村。ここでは焼畑農耕が受け継がれ、縄文時代から栽培されているという在来種のソバの種を守り続けています。焼畑産のソバは粘りが強く、つなぎを必要としません。しかし値段が高く、収穫量も限られています。
椎葉村には「民俗学発祥の地」の碑が建っています。法制局参事官だった柳田國男は、有名な『遠野物語』を著す前年に『後狩詞記』(のちのかりのことばのき)で、椎葉村の焼畑について記しています。これが日本最初の民俗学文献です。椎葉村にユートピアを見た柳田ですが、のちに焼畑は自然の略奪であるとの批判的な立場に転じました。
アマゾンの熱帯雨林などで森林破壊の元凶とされる焼畑ですが、本来は自然のサイクルに則った持続可能な農業です。椎葉村では、山に火を入れる前に生き物たちに避難を促す祝詞を唱えます。
豊かな山の恵みと、それを守り続けた椎葉村の人々。日本には、まだこんな素晴らしい場所があったのかと思うと胸が熱くなります。

(3月20日読了)★★★★★

【関連サイト】
椎葉村ホームページ


ラベル:農業
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 18:50| Comment(0) | TrackBack(1) | 社会・思想交遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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