2011年03月27日

化石を見に行こう

日本列島はユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートの4つのプレートがひしめき合う世界有数の地震多発地帯であり、火山帯です。これらの地殻変動が、日本列島を形成しました。近年、地質学的に重要な場所がジオパークとして認定されています。
管理人は化石や鉱物を見るのが大好きでして、高校の理科もマイナーな地学を選択しました。福井県立恐竜博物館は、何度行っても天国です(恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークは、2009年に日本ジオパークに認定されました)。

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この化石図鑑のサブタイトルは「示準化石ビジュアルガイドブック」。
示準化石とは、地層の地質時代を特定する手掛かりとなる化石のことです。生存期間が短く、分布範囲の広い生物の化石が用いられます。古生代を代表する示準化石は三葉虫、中生代を代表する示準化石がアンモナイトです。いずれも短期間に形態が変化し、多くの種に分岐しています。
一方、示相化石と呼ばれる化石もあります。こちらは特定の環境に分布する生物の化石で、出土した地層の環境を推定するのに役立ちます。例えばサンゴの化石は、その地層が当時は暖かく浅い海だったことを示すものです。

それぞれの地質時代を代表する化石たち。
本書に掲載された化石は、茨城県つくば市にある産業技術総合研究所の地質標本館に所蔵されています(現在、東北地方太平洋沖地震による被災のため休館中)。
巻末には化石が見られる全国の博物館やジオパークの一覧もあって、お出かけに便利です。

(3月4日読了)

【関連サイト】
産業技術総合研究所
地質標本館
【不純文学交遊録・過去記事】
図鑑の誘惑


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2011年01月31日

生命は宇宙で誕生した?(後編)

ピラミッドやナスカの地上絵を見て、人類の文明は宇宙人によってもたらされたとか、人類は宇宙人が類人猿に遺伝子操作をして生まれたのだと主張する人がいます。そんな人には是非とも「その宇宙人に文明を教えたのは何星人?」と聞いてみたいですね(笑)
パンスペルミア説にも同様の批判があります。最初の生命が誕生した場所を、地球上から宇宙空間へ先送りしたに過ぎないと。

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生命の起源として有力視されているのが、深海底の熱水噴出孔です。熱水噴出孔の周辺には、酸素を必要としない嫌気性生物の生態系が存在します。
しかし、パンスペルミア説にも可能性を感じます。生命が宇宙で誕生したのではなくとも、生命の素となった有機物が宇宙空間で生成されて、彗星や隕石によって地球に飛来したのかもしれません。アミノ酸のホモキラリティー(分子の偏り)が、宇宙に由来するとの説もあります。
昨年12月には、リンの代わりに砒素を栄養とする細菌(GFAJ-1)がNASAによって発表され、地球外生命の可能性を示唆するものとして話題になりました。
「ヒ素で生きる細菌」の発見が生命の定義を覆した
(月刊化学2011年2月号)


1990年、ホイルとウィックラマシンジはイギリスの科学雑誌『Nature』に、インフルエンザの流行と太陽黒点の周期が連動しているとの説を発表しました。太陽活動が活発化すると地球に飛来する紫外線やガンマ線が増加し、ウイルスの遺伝子が突然変異します。人類は新しいウイルスに対する免疫がないので、インフルエンザが流行するというのです。
宇宙線の放射が生物の遺伝子に変異をもたらし、進化の原動力になったとするヘンリク・スベンスマルクや丸山茂徳には、先人がいたわけです。こちらは逆に、太陽活動が低下する(太陽風が弱まる)ことで、地球に到達する宇宙線の量が増えるとの説明ですが。
このアイデアの先駆的な例は、マイクル・クライトンの小説『アンドロメダ病原体』(1969年)でしょう。


著者の長沼毅は、深海や極地などの極限環境に生息する生物を研究する学者です。NHK総合テレビ『プロフェッショナル』にも出演しました。
本書は(学界でまともに相手をされない?)パンスペルミア説を信仰する、異端者の告白のように始まります。版元は化学同人という理工系出版社ですが、まるでトンデモ本を手に取ったかのような気分になりますので(笑)、先にNHKブックスから出ている『生命の星・エウロパ』を読んだ方が安心かもしれません。
木星の衛星エウロパは、表面を氷に覆われていますが、その下に海があると考えられており、地球外生命探査の候補のひとつです。

(1月22日読了)★★★★

【不純文学交遊録・過去記事】
生命は宇宙で誕生した?(前編)
資源大国ニッポン
泰平の眠りを覚ます宇宙線
タフな奴ら。
世界は〇〇で出来ている
【関連サイト】
NHKプロフェッショナル仕事の流儀
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2011年01月30日

生命は宇宙で誕生した?(前編)

生命は、約40億年前に誕生しました。
無生物から生命が誕生したのはそのときだけで、現存する生物は原初の生命の子孫であると考えられます(生命の誕生が一度きりで、たった一個の細胞だったとは限りませんが)。
生命の誕生を再現しようとした試みとして、ユーリー・ミラーの実験が知られていますが、未だ生命を化学的に生成することに成功した科学者はいません。

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地球上で生命が発生するのは極めて稀な確率であり、地球の誕生から生命の誕生までの時間は十分ではないとする意見があります(もちろん、数億年もあれば十分だとする反論もあります)。
そこで原初の生命は宇宙で誕生し、隕石や彗星によって地球に飛来したのだとする説が生まれました。これをパンスペルミア説と呼びます(パン=汎、スペルミア=胚種)。

教科書的な常識を打ち破る新説・異説を好む私が、中学生の頃に読んで衝撃を受けた本が、フレッド・ホイルとチャンドラ・ウィックラマシンジによる『生命は宇宙から来た』(光文社カッパサイエンス)でした。特に面白かったのが昆虫に関する記述で、ショウジョウバエは地球上に存在しない波長の紫外線を見ることが出来るといいます。
昆虫は地球上で最も種類が多く、繁栄している生物です。卵→幼虫→蛹→成虫と劇的な変態を遂げる昆虫が、実はエイリアンなのだと言われると、つい信じたくなってしまいます(蛹を経ないで不完全変態する昆虫もいます)。

ホイルはイギリスの天文学者で、ビッグバン宇宙論に対抗する定常宇宙論の提唱者でした。彼はビッグバンの命名者であり、またSF作家としても知られています(つまりビッグバンとは、論敵側から付けられた蔑称なのです)。
『生命は宇宙から来た』の訳者は、科学雑誌『サイエンス』(現『日経サイエンス』)編集長の餌取章男。NHK総合テレビの児童向けニュース番組『600こちら情報部』の人気コーナー「なんでも相談」で、科学分野の回答者だった方です。

また、古い話になってしまいました…(笑)
つづく
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2011年01月03日

気まぐれサンシャイン

国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が、昨年11月29日から12月10日まで、メキシコのカンクンで開催されました。
日本政府は、米中および発展途上国に温室効果ガスの削減義務がない、京都議定書の第2約束期間を設定することに反対を表明したようです。
外務省・気候変動問題

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地球の気候は、大気の温室効果によって温暖に保たれています。
温室効果ガスが増えると、地球の気温も上昇します。産業革命以降、大気中の二酸化炭素は増え続けています。現在、地球の平均気温は上昇傾向にあり、人為的な温室効果ガスの排出が原因だとするのが地球温暖化内因説です。
大気中の二酸化炭素は一方的に増え続けていますが、地球の平均気温の推移はそうではなく、むしろ太陽の活動周期とリンクしているとする説もあります。こちらは地球温暖化外因説です。

地球を暖めているのは、太陽からの放射エネルギーです。しかしながら、太陽放射の変動幅は0.2%しかありません。この程度では、気候にほとんど影響しないでしょう。気候変動が太陽活動とリンクしているなら、他にも要因があるはずです。
そこで注目されるのが、太陽活動の周期によって地球に到達する宇宙線の量が増減し、地球の気候に変動がもたらされるとする、ヘンリク・スベンスマルクの仮説です。詳しく知りたい方は、本書よりも『不機嫌な太陽』をお読みください。

17世紀半ばから18世紀初頭にかけては太陽黒点がほとんど観測されず、マウンダー極小期と呼ばれています。当時、地球の気候は寒冷化し小氷期となりました。
近年、太陽黒点数が著しく減少しているそうです。著者(桜井邦朋)が予測するように、地球は寒冷化に向かうのでしょうか?
今後も、地球温暖化論争を追跡します。

(12月30日読了)★★★

【不純文学交遊録・過去記事】
地球の危機か自由の危機か
泰平の眠りを覚ます宇宙線
空に太陽がある限り
温暖化論議は冷静に(後編)
温暖化論議は冷静に(前編)
底抜けニッポン(中編)
エコロジーの国際政治学
地球温暖化リテラシー
マルクスさんとマルサスさん
地球寒冷化に備えよ!
温暖化詐欺にご用心!(前編)
温暖化詐欺にご用心!(後編)
地球温暖化は繰り返す(前編)
地球温暖化は繰り返す(後編)
悪魔は目を覚ますのか?
マイナス6%の覚悟
地球の現代史・不確かな真実V
不確かな真実U
不確かな真実
悲観も楽観も、いけません。
やっぱり宇宙は面白い
ラベル:地球温暖化
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2010年12月13日

死因不詳国家

いま生きている人間には、いつか死が訪れます。人間は生きている間にいくつもの書類を記入しますが、人生の最後を締めくくる書類が、死亡届です。



死亡届の提出には、死者を看取った医師(または歯科医師)による死亡診断書の記入が必要とされます。
しかし世の中には「畳の上で死ねなかった」人が、二割ほど存在します。不慮の事故や原因不明の突然死、そして自殺や犯罪など。このような「異状死」の場合、死亡診断書ではなく死体検案書が書かれます。病死ではない人の死の原因を探るのは、法医学者の仕事です。

日本国内で解剖を行える法医学者は150人程度で、解剖率は先進国で最低レベルの「死因不詳国家」だそうです。
現在、監察医制度があるのは東京23区、大阪市、神戸市、横浜市、名古屋市だけ。異状死に対する解剖の実施率は、監察医のいる地域では24〜90%なのに対し、その他の地域では1%前後に過ぎません。行政解剖によって犯罪が露呈したケースもあり、多くの地域で犯罪が見過ごされている可能性もあるわけです。

いまや人生80年、日本は世界トップレベルの長寿国です。その一方で、人間はいとも簡単に死んでしまう存在であることを、本書は教えてくれます。
日常生活にも危険は潜んでいます。食事・飲酒の直後に入浴するのは避けましょう。また、ただの筋肉痛かと思っていたら、重大な疾患だったということもあるのです。
ミステリを読む際の参考になればと興味本位で手に取ったのですが、普段の健康管理の大切さを痛感させられる一冊でした。

(12月6日読了)★★★★
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2010年11月01日

ビッグバンで宇宙は生まれない?



宇宙は百数十億年前に起こった大爆発「ビッグバン」から始まった…これが一般に広く知られている宇宙の起源です。
宇宙のもとになったのは、あらゆる物質を超高密度で閉じ込めた微小な点だったといいます。それは物理法則が破綻した極限状態=特異点であり、ビッグバン理論では物理学を超越した「神の領域」が存在することを認めざるを得ません。

インフレーション宇宙論

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ビッグバン理論だけでは説明できない宇宙創生の神秘を、物理の法則で解き明かすのがインフレーション理論です。
ビッグバン理論では、初期の宇宙がなぜ火の玉になったのか、どうやって星や銀河を生み出す密度の濃淡が生じたのかなどを説明できませんでした。
インフレーション理論は、宇宙が誕生した10のマイナス36乗秒後に、急激に加速度的な膨張が始まったとします。そのときに発生した膨大な潜熱が、宇宙を火の玉にしたというのです。

宇宙論の世界標準となったインフレーション理論の提唱者の一人が、著者の佐藤勝彦です。私が小学生の頃に読んだ科学雑誌では、気鋭の若手研究者として紹介されていましたが、時が経つのは早いもので2009年に東京大学を停年退官されました。
本書では、インフレーション理論から導き出される1000億年後の宇宙像や、宇宙は多数存在するというマルチバース、超ひも理論、さらには宇宙の人間原理についても述べています。

超ひも理論には、10次元とか11次元の時空が出てきますが、それは数学的に都合がいいから仮定しているのであって、実体はどうなのか全く分からなくても問題はないそうです。
本書には、数式はほとんど出てきません。理系読者には易し過ぎて物足りないでしょうが、素人が秋の夜長に宇宙への想像を膨らませるには、丁度いいと思います。

(10月31日読了)★★★★

【不純文学交遊録・過去記事】
5次元は、どこにある?
やっぱり宇宙は面白い
2005年は、宇宙の年!
はじまりの物語
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2010年10月25日

夢の中へ



この世界は実在しているのか、それとも脳が見せる幻覚なのか。
古代支那の思想家である荘子は、有名な「胡蝶の夢」の一節で、自分が夢のなかでチョウになっているのか、チョウが夢のなかで荘子になっているのか分からないと語っています。

人はなぜ夢を見るのか

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人はなぜ夢を見るのか。
夢は何を意味しているのか。
人類が数千年に渡って問い続けてきた大いなる謎です。

近代になると、ジグムント・フロイトは夢を性的願望の現れだと考え、カール・グスタフ・ユングは夢に人類共通の集合的無意識を見出しました。深層心理学による夢の解釈の始まりです。
さらに科学の発達は、脳生理学によってヒトが夢を見るメカニズムを明らかにしようとしています。夢には、私たちの記憶を整理する機能があるのだとか。
本書は、人文科学と自然科学の双方からのアプローチを一冊にまとめた、夢の総合科学と呼べる内容です。

夢は目覚めるとなかなか思い出せないものですが、レム睡眠状態から起こされると覚えています。レム睡眠のレム(REM)とは「Rapid Eye Movement」の略で、眼球が急速に動いている状態です。
なかには自分が夢を見ていることを自覚し、夢の中で自発的な行動ができる人もいて、このような夢を明晰夢といいます。
私は、脳波を読み取って夢を録画する技術は可能なのかと夢想しています。

(10月18日読了)★★★
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2010年08月18日

究極のサイエンス

低温・高圧・強磁場という極限の世界。
魅力的な言葉の響きに惹かれて、講談社ブルーバックスの一冊を読んでみました。



物性物理という分野の予備知識がないと読み辛い、とても硬派な一冊。
しかし、読書家で知られる成毛眞も「理解できない専門用語が出てくるが問題ない」と書いているので、安心しました。科学の入門書というイメージが強いブルーバックスですが、本来は専門家が最先端の科学を手加減なしに紹介する本だったそうです。
成毛眞ブログ『極限の科学』
読者は内容をすべて理解できなくても、何かしらの科学のエッセンスを感じ取れれば良いわけですね。

つい、これはどんな製品に応用できるのかなと現世利益的なことばかり考えてしまうのですが、画期的な発明・発見は、役に立つかどうか判らない地道な基礎研究があってこそ。
文系読者が楽しめるのは、自然界のさまざまな分野における極限について述べた第1章の「極限序説」と、第終章の「宇宙の極限物性」。極限環境に棲息する生物とか、白色矮星やブラックホールの話題は、個人的に興味が尽きません。でも、ここは本書のメインではないんですよね。
たいへん素晴らしい本なのですが、私の理解が及ばず…

著者の伊達宗行は、強力な磁場を発生させる「伊達マグネット」の考案者。仙台市生まれということは、独眼竜・伊達政宗の血を引く方なのでしょうか。

(7月25日読了)★★★
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2010年08月09日

資源大国ニッポン

小学生の頃、石油はあと数十年でなくなるとか、日本は石油の99.8%を輸入に頼っていると知って、とても不安になったのを覚えています。
しかし石油は太古の生物の死骸だといわれても、なかなかピンときませんでした。そこで石油無機生成説とか、日本海底には大油田があるとの異説を唱える書物に興味を引かれました。そうした読書歴からか、日本近海のメタンハイドレートや海底熱水鉱床の話題には強く反応します。



かつて地球は、パンゲアと呼ばれるひとつの大陸でした。
大陸移動のメカニズムとして考え出された、プレートテクトニクス理論。海底熱水鉱床は、プレートテクトニクスを検証する過程で発見されました。

海底熱水鉱床には豊富な金・銀をはじめ、銅・鉛・亜鉛といったベースメタル、ガリウムなどのレアメタルが含まれています。日本の排他的経済水域(EEZ)は世界第6位であり、有望な海底熱水鉱床がいくつも発見されています。日本が一転して資源大国となる可能性が出てきました。
いま世界は、熾烈な資源争奪競争を繰り広げています。しかしながら日本の海洋探査は、外国製の機器に頼っているのが現状です。

海底熱水鉱床の周辺にはチューブワーム、ユノハナガ二、コシオリエビなどの特異な深海生物が生息しています。そのため生態系を破壊しない開発の方法が必要となります(例えば、熱水生物が棲息しない活動を停止した鉱床から採掘する)。
本書では触れられていませんが、独特の生態系を形成する海底熱水鉱床は、最初の生命が誕生したエデンの園かもしれないのです。

本書には著者・飯笹幸吉が、海底熱水鉱床の探査に挑んだ苦難の日々が綴られるとともに、日本の資源戦略に対する危機感も滲ませています。
海底熱水鉱床を単なる資源としてではなく、純粋な人類の知的探求の対象として描くことも忘れていません。海底熱水鉱床は、地球と生命の歴史を解き明かす科学のフロンティアなのです。

(8月2日読了)★★★★ 

【不純文學交遊録・過去記事】
いつか石油が無くなる日
レアメタル・パニック
タフな奴ら。
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2010年07月19日

泰平の眠りを覚ます宇宙線

地球温暖化は、大気中の二酸化炭素の増加が原因であるとされています。その一方で太陽の活動、海流の変化、ミランコビッチ・サイクルなど、温室効果ガス以外の要因を挙げる科学者も少なくありません。

地球温暖化論争に関心のある方は、宇宙線が雲の生成に影響しているとする「スベンスマルク効果」をご存知でしょう。太陽活動が低下すると太陽風が弱まり、地球上に多くの宇宙線が飛来します。そうなると雲の生成量が増えて、太陽の光が地上に届くのを遮ることになるのです。
地球は寒冷化に向かうと主張する丸山茂徳の著書で、スベンスマルクの名を知った方は多いと思います。しかし残念なことに、これまで邦訳がありませんでした。



スベンスマルク、待望の初邦訳(原題は『The Chilling Stars』)。
横書きで理科系度高し。

ヘンリク・スベンスマルクは、デンマーク国立宇宙センターの太陽・気候研究センター所長。共著者のナイジェル・コールダーは、BBCの科学番組を手掛けるサイエンスライターです。
スベンスマルクの説は、地球温暖化懐疑論としてのみ語られている感がありますが、本来は地球の歴史全般の解明につながるスケールの大きなものです。

かつて地球は、赤道地帯をも含めた全域が氷に閉ざされた全球凍結(スノーボールアース)の状態にありました。その後も地球環境は激しい変動を繰り返し、生物の大量絶滅が何度も起こっています。
私たちの銀河系は星々が渦巻き状に連なっていますが、太陽系は銀河の渦巻きの腕を通過するたびに大量の宇宙線を浴びることになります。その周期は約1億4000万年です。
太陽系の近くで起こった超新星の爆発も、大量の宇宙線を放射します。もしかすると、地球に降り注いだ宇宙線が生物の遺伝子に変異をもたらし、著しい進化を促したのかもしれません。

地球温暖化は異常気象や海面上昇をもたらすとされ、科学の枠を超えて国際政治の問題として扱われてきました。
温暖化の原因が人為的な二酸化炭素の排出増加でなかったとしても、人類は化石燃料の消費を抑制すべきですし、大気中の二酸化炭素濃度が一方的に増え続けて良いわけではありません。
スベンスマルクの著作が地球温暖化論争から離れて、純粋に新しい科学のフロンティアとして読まれることを願います。

(7月12日読了)★★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
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ラベル:地球温暖化
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