2010年03月28日

空に太陽がある限り

フランスの思想家ジョルジュ・バタイユは、人間は過剰なエネルギーを蕩尽する存在であると説き、そのエネルギーの源は太陽であるとしました。
太陽は原子核融合反応によって、膨大なエネルギーを生み出しています。そして地球に生命が暮らせる温度環境をもたらし、光合成のもととなる光を供給しています。太古の植物から生成された化石エネルギーもまた、太陽の産物です。



太陽の科学

太陽は人類にとって最も身近な星であり、広大な宇宙においてはありふれた平均的な恒星です。
本書は太陽の構造に始まってブラックホールに至るまで、最新の宇宙研究の成果が紹介されています。いきなり、文系人間には想像もつかない単位の数字がズラリと並びますが、理系読者にはちょうどいい難易度でしょうか。

読んで面白いのは、やはり太陽が地球に及ぼす影響についてです。
太陽は常に激しく爆発しており、巨大なフレアが発生すると地球に被害をもたらします。1989年にカナダのケベック州で起こった大停電は、フレアによる磁気嵐が原因でした。
地磁気の変動で石油パイプラインが腐食したり、磁気嵐がヒトの血圧に影響するとした報告もあるようです。太陽の活動周期と文明の盛衰に因果関係を見出すのは、一種のトンデモ科学かとも思うのですが、根拠がないわけではなさそうです。

近年、太陽の黒点が100年に一度の少ない状態にあり、地球の寒冷化が心配されています。
地球温暖化の原因は太陽だとするのは天文学者・物理学者に多く、二酸化炭素が原因だとする気象学者とは対立関係にあります。
化石燃料の消費削減は、人類の重要な課題です。しかし現時点で、地球温暖化の原因が二酸化炭素であると結論することはできません。

太陽を知ることは宇宙全般を知ることであり、地球と人類の未来を考えることなのです。

(3月22日読了)★★★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
温暖化論議は冷静に(後編)
温暖化論議は冷静に(前編)
地球温暖化リテラシー
マルクスさんとマルサスさん
地球寒冷化に備えよ!
温暖化詐欺にご用心!(前編)
温暖化詐欺にご用心!(後編)
地球温暖化は繰り返す(前編)
地球温暖化は繰り返す(後編)
やっぱり宇宙は面白い
スーパースターBest20


ラベル:地球温暖化
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2010年03月22日

サイエンスがいっぱい

奇妙なタイトルに、漫画チックな表紙(イラストはとり・みき)。
ちょっと手に取るのをためらわせる装丁ですが、内容紹介にあった「日本国憲法の過激な運用法」に興味を引かれて読んでみました。



サはサイエンスのサ

本書の元になったのは、雑誌『SFマガジン』に連載されている鹿野司のサイエンス・エッセイです。
「カラダを変えるサイエンス」「ココロを変えるサイエンス」「セカイを変えるサイエンス」「ミライを変えるサイエンス」の4章構成。
各章はさらに細かく分かれていますが、全く別のテーマを扱っていながら、つながっているように読めるのが本書の面白さ。
第1章の「カラダを変えるサイエンス」は、クローン人間から始まって、最後は新型インフルエンザの話題に。
第2章「ココロを変えるサイエンス」では、風の谷のナウシカと新世紀エヴァンゲリオンについて論じていたのが、宗教の起源やチンパンジーの知性へと展開していきます。

薀蓄満載のサイエンス漫談を楽しみながら、科学的な思考で世の中を見つめ直すことができます。クローン技術批判に対する疑問や、環境問題が倫理問題にすりかわっているという指摘には、大いに賛同。
ただ、期待していた「日本国憲法の過激な運用法」は、別にどうってことのない内容でした…

(3月21日読了)★★★★
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2009年10月12日

温暖化論議は冷静に(後編)

江守正多氏は、国立環境研究所の温暖化リスク評価研究室長。地球温暖化予測のキモである気候モデルについて、専門家の立場からわかりやすく書いています。
気候モデルのテクニカルな部分は、私のような文系読者にはやや難解ですが、完全に理解できなくても全体を把握するのに問題はありません。



地球温暖化の予測は「正しい」か?

江守氏は地球温暖化の脅威を訴える側の人ですが、気候モデルが不完全であることも認めています。
地球温暖化をめぐる誤解に対しても冷静です。アル・ゴア元米副大統領の『不都合な真実』で描かれたように、短期間で海面が6mも上昇することはありません。
また、地球温暖化が進むと北大西洋の熱塩循環が急停止して、映画『デイ・アフター・トゥモロー』のように、一転して氷河期がやってくると言う人がいますが、ヨーロッパの気候が寒冷化することはあっても、地球全体が氷河期になることはありません。

世の中には温暖化危機派と懐疑派の双方による、センセーショナルな言説があふれています。
「地球温暖化に関する一般向けの本は、専門家でない人によって書かれたものが多く、書いた人も読んだ人も、勝手に想像して信じたり批判したりしている」と語る江守氏。本書は、温暖化の危機を憂える人も、温暖化に懐疑的な人も、必読の一冊です。
本書とあわせて、赤祖父俊一氏の『正しく知る地球温暖化』を読まれることをオススメします。どちらも文章は易しく、ページ数は少なめで、地球温暖化問題に対する冷静な態度が身に付きます。

江守氏は、価値中立的な立場で書きたかったとして、地球温暖化に社会がどう対処すべきか、本文では触れていません。
あとがきで「研究を通して世界の変革にコミットしている感覚」があり、「地球温暖化という物語は、マルクス主義以来の大きな物語かもしれない」と語るあたりに、彼の人となりが垣間見えて興味深いです。
江守氏は1970年生まれで、学生運動は知らない世代ですが…

私は気候モデルに対し、初期条件が間違ってはいないのか、研究者による恣意的な操作はないのか、疑問を抱いていましたが、本書を読んで不信感はかなり払拭されました。それでも気候モデルは不完全であり、特に太陽活動が一定であるということは、太陽活動の変化によって予測が大きく外れることを否定できません。
地球温暖化の予測や温暖化対策には、疑問があります。しかし、地球が温暖化しようがしまいが、化石燃料が有限であることは確かです。
浅薄な正義に流されず、地球の未来と日本の国益を冷静に考えましょう。

(9月27日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
温暖化論議は冷静に(前編)
底抜けニッポン(中編)
エコロジーの国際政治学
地球温暖化リテラシー
マルクスさんとマルサスさん
地球寒冷化に備えよ!
温暖化詐欺にご用心!(前編)
温暖化詐欺にご用心!(後編)
地球温暖化は繰り返す(前編)
地球温暖化は繰り返す(後編)
悪魔は目を覚ますのか?
マイナス6%の覚悟
地球の現代史・不確かな真実V
不確かな真実U
不確かな真実
悲観も楽観も、いけません。
ラベル:地球温暖化
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2009年10月11日

温暖化論議は冷静に(前編)

9月22日の国連気候変動サミットで、鳩山由紀夫首相は温室効果ガスを1990年比で25%削減することを宣言しました。
あらためて地球温暖化問題が大きく報道されていますが、そもそも地球温暖化の予測は、どのようになされているのでしょうか。



地球温暖化の予測は「正しい」か?
江守正多 著

もしも大気がなかったら、地球の表面温度は−19℃です。
大気に含まれる温室効果ガス(水蒸気、二酸化炭素、オゾン、メタン、亜酸化窒素など)によって、地球の平均地表気温は、およそ14℃に保たれています。
私たちが快適に過ごせるのは、温室効果のおかげです。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第四次評価報告書によると、地球の地表気温は過去100年で0.7℃ほど上昇したとされています。
大気中の二酸化炭素は、過去200年で280PPMから380PPMへと急激に増加しています。これが人類の文明活動のせいなのは間違いありません。
温室効果ガスが増加すると、対流圏の気温上昇とセットで成層圏の気温は下がります。成層圏の気温低下は、20世紀後半に実際に観測されており、太陽活動など他の要因で気温上昇が起こった場合には、成層圏の気温低下は説明できません。
地球の温度を決めるのは温室効果ガスだけではありませんが、人為的な二酸化炭素の増加で、地球の気温は0.数℃上昇したと考えられています。

IPCCの温暖化予測は、コンピュータ・シミュレーションに基づいています。
コンピュータで作られたもうひとつの地球を、気候モデルと呼びます。気候モデルに与えられるのは、地球はどのような惑星かを決める基本的な条件のみで、現実のデータを事細かに入力しているわけではありません。それでもコンピュータのなかの地球は、熱帯は暑く、極地は寒くなります。
気候モデルのパラメタ化は、半分は理論、半分は経験です。かといって物理の法則に従う以上、研究者が好きなように変えられるものでもありません。
気候モデルは1940年代のピークを再現できていませんでしたが、最近になって観測データの方に問題があるとわかってきました。気候モデルがいくらでも細工できるような代物であれば、観測データに合うよう研究者は細工していたでしょう。
気候モデルは完全ではありませんが、イカサマでもないのです。

気候モデルでは、将来の自然要因の変化は予測できないので、太陽活動は一定、火山の噴火は一切起こらないという単純な仮定をしています。
太陽活動の変化が考慮されないのは、気候モデルの重大な弱点だと私は思いますが…

(つづく)
ラベル:地球温暖化
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2009年06月22日

「自然保護」は正しいか

日本で野生のトキは絶滅しましたが、人工繁殖されたトキが佐渡島に放鳥されています。ところが今度は、トキが希少な新種のカエルをエサにしていることが判明しました。人工的に放たれたトキは、佐渡島の生態系のバランスを壊すことになるのかもしれません。

エコカー減税とか、家電のエコポイントとか、エコと名が付けば全て通るような風潮にある昨今。私たちが正しいことだと信じている「自然保護」が本当に良いことなのか、改めて考えてみませんか。



自然はそんなにヤワじゃない
花里孝幸 著

私たちが「保護」しようとする生物は、見た目が綺麗な生物や、食用などの役に立つ生物、クジラのように知能の高い生物に限られます。
人間による開発や乱獲で、数が激減した生物を保護するのは、結構なことでしょう。しかし熱帯林の奥地で発見された新種が絶滅危惧種だった場合、それは人間のせいではなく、現在の地球環境に適応できない生物です。その生物を保護するために、人間が環境に手を加えることは、かえって他の生物を絶滅に追いやるだけかもしれません。

水辺に大量発生するユスリカは、人を刺しはしませんが、人から迷惑がられています。しかし諏訪湖でユスリカが減ると、それをエサにしていたワカサギが小さくなり、漁業に打撃を与えました。ユスリカが減ったのは、諏訪湖の水質改善が進んでアオコが激減したからです。
水質が改善されて澄んだ湖は、栄養が不足していて植物プランクトンが少なく、植物プランクトンが少なければ生息できる魚も少なくなります。きれいな湖よりも、濁った湖の方が生物の多様性は高いのです。
人間が美しいと思う環境が、生物にとって棲み良い環境だとは限りません。

私たちが環境(=人間が好ましいと感じる環境)を破壊し尽くして人類が絶滅しても、地球は滅びません。人間がいなくなった、新たな地球の生態系がそこにあります。自然はとてもタフなのです。もちろん、人間とともに絶滅する生物種も少なくないでしょうが。
人類が絶滅したあとの地球の姿を予測したドイツの映画『アフター・デイズ』のDVDは、こう結んでいます。
地球に人間はいらない。だが、人間には地球が必要なのだ

本書は新潮選書の一冊です。選書には地味でお堅い印象がありますが、本書は易しい文章で、生態系や生物多様性についての理解が深まります。170ページほどの気軽に読めるボリュームです。
ありきたりのエコロジー賛美に食傷気味の方、反エコロジー論にもいかがわしさを感じる方に、おすすめいたします。

(6月22日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
ムシの眼から見る世界
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2009年06月15日

冬眠すれば長生きできる?

人工的に冬眠状態に入った人間が、若々しい姿のまま未来の世界で目を覚ます…SF小説・映画でたびたび見られるシーンです。
宇宙ロケットで太陽系の外へ飛び出すには、何十年もかかります。その間、乗員は歳を取りますし、大量の食料や燃料が必要となります。しかし人工冬眠が可能になれば、宇宙旅行の物理的な制約がなくなるかもしれません。



「人工冬眠」への挑戦
市瀬史 著

冬山で遭難したり、凍結した川に転落した人が、心臓停止の状態から奇跡的に回復したケースがあります。奇跡の生還者たちに共通しているのは、極度の低体温状態だったことです。
心臓や呼吸が停止すると、酸素が供給ができなくなって臓器に大きなダメージを与えます。臓器のダメージを防ぐには、代謝を抑制せねばなりません。そのための有効な手段が、人体を低体温状態にすることです。

自然界には、リスクマのように冬眠する動物がいます。彼らは体温を下げて代謝を抑制することで、生存に必要なエネルギーを節約し、食べ物が不足する冬を乗り切っているのです。
人間は寝たきりでいると骨や筋肉が急速に衰えますが、クマにはタンパク質やカルシウムをリサイクルする仕組みがあって、冬眠中の筋力の低下を抑えています。
また冬眠する動物は、他の哺乳類よりも長生きです(シマリス11年以上、ラット3年)。

冬眠中のリスは、睡眠しているわけではありません。実は二週間おきに冬眠から覚醒して、睡眠不足を解消しています。睡眠は、哺乳類にとって非常に重要なのです。
本題である人工冬眠の実現性については、正直言って「?」。
それよりも、睡眠や代謝のメカニズムについての記述が非常に面白く、興味深い内容でした。

(6月8日読了)
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2009年05月04日

5月はMay(メ〜)

村上春樹『羊をめぐる冒険』、フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』など数々の小説作品に登場する動物、ヒツジ
ヒツジは古くから家畜として飼われ、毛・肉・乳などが利用されてきました。人間にとって非常に身近な動物です。



ひつじがすき

佐々倉実(写真) 佐々倉裕美(文)

ヒツジといえば、モコモコした白い毛皮と渦巻き状の角を思い浮かべます。これはメリノと呼ばれる品種です。他にも顔と脚が真っ黒なサフォーク、4本の角がいかめしいジャコブなど、数多くの品種があります。
ヒツジは草を引き抜かずに食べ、次も食べられるようにします。そして程よい力で地面を踏みつけて、再び牧草が育つようにします。黄金の蹄の持ち主なのです。

本書は日本各地のヒツジ牧場を訪ね歩き、四季を通してさまざまなヒツジの表情が、カラー写真で収められています。
つぶらな瞳の子ヒツジの愛らしさは、たまりません。
面長でとぼけた顔をした親ヒツジも、味わいがあっていいですね。
眺めているだけで癒される一冊です。
ちなみに子ヒツジは「メーメー」と高い声で、親ヒツジは「ベー」と低い声で鳴くそうです。

ヒツジに関する豆知識も豊富。
例えば、華氏100度はヒツジの体温(摂氏約38度)なんだとか。

(5月3日読了)

本書の続編も出ました。
ヒツジの品種については、こちらの方がわかりやすく書かれています。



ひつじにあいたい

さらにDVD版『ひつじがすき』も発売。
羊が一匹、羊が二匹…と数えて眠りを誘う特典映像入り。
ヒツジブーム、到来か?



【24%OFF!】ひつじがすき 日本のひつじ牧場(DVD) (2009年5月28日発売/発売日以降お届け)
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2009年01月13日

腕立て伏せをする魚

今年は進化論を提唱したチャールズ・ダーウィン(1809‐1882)の生誕200年、そして『種の起源』の出版から150年にあたります。
ちなみにダーウィンがガラパゴス諸島から連れ帰ったゾウガメは、つい最近まで生きていました(2006年に推定年齢176歳で永眠)。

「人間とは何者か?」「生命はいかにして誕生したのか?」
私たちの根源的な問いに答えようとする進化論。ダーウィン・イヤーに論争が盛り上がることを期待します。



ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト 二ール・シュービン

この本の表紙に描かれたワニのような生物、実はティクターリク(イヌイットの言葉で「大きな淡水魚」の意味)という学名の魚です。
3億7500万年の地層から化石が発見されたティクターリクは、魚類と原始的な両生類の中間的な形態をしています。鰭の内部に肩・肘・手首に相当する関節をもっていて、なんと腕立て伏せをしていたのです。
水中の捕食者(より大型の魚類)から逃れて、干潟の上を動き回っていたと考えられています。

私たち人間のカラダは、魚類から多くを受け継いでいます。進化とは無から有を生み出すのではなく、既存の構造(ボディデザイン)を上手く利用してなされてきました。
しかしながら、私たちが未だ魚類であるがゆえの不都合もあります。脚や腰を痛めるのは、直立二足歩行の代償です。肥満になるのは、食糧が枯渇した際にエネルギーを蓄える、狩猟採集生活時代の名残りだと考えられます。
ちなみにしゃっくりとは、鰓と肺の両方をもつオタマジャクシが、水が気管に入らないようにする反応なんだとか。

太古の生物が化石として残るのは極めて稀なことであり、ティクターリクのような進化のミッシングリンクとなる種の化石が発見されるのは、さらに奇跡的な確率です。地球の歴史には、私たちのまだ知らない生物が数多くいたことでしょう。
新たな発見によって、進化論もまた進化し続けます。

(1月12日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
恐竜はなぜ鳥になった?
カラダは世界遺産
ダーウィンが来た!
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2008年10月13日

地球温暖化リテラシー

今年のノーベル賞は、日本人が4人受賞しました。
物理学賞には素粒子理論(対称性の破れ)で南部陽一郎小林誠益川敏英の三氏、化学賞には緑色蛍光タンパク質を発見した下村脩氏が選ばれています。
長らく品切れになっていた受賞者の著書にも問い合わせが相次ぎ、重版が決定したようです。
昨年は、平和賞にアル・ゴア元アメリカ副大統領とIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が受賞したことで話題になりました。しかし彼らの受賞理由となった地球温暖化論に対しては、様々な異論が出されています。

メディアリテラシーという言葉があります。リテラシーとは読み書き能力の意味で、メディアを使いこなす能力と解釈されます。
地球温暖化論は、私たちのメディアリテラシー(さらには科学リテラシーと政治リテラシー)が試される格好のテーマではないでしょうか。



地球温暖化論のウソとワナ 伊藤公紀 渡辺正 著

本書を読んでまず驚かされるのは、気温測定がいかに杜撰であるかです。
日本国内の観測サイトで信頼できるデータが得られるのは、3ヶ所しかありません。

二酸化炭素の増加が地球の気温を上昇させるのはホントです。
そして20世紀後半以降の二酸化炭素の増加の多くは、人為的要因でしょう。
ただし最大の温室効果ガスは水蒸気であり、地球が温暖なのは大部分(90%以上)が水蒸気のおかげなのです。二酸化炭素が現在の2倍になったときの気温上昇値(気候感度)は、1.6℃だといいます。

地球の気候を変動させる要因は、温室効果ガスだけではありません。
二酸化炭素を吸収するはずの緑地が増えると、気温が上昇します。これは緑色のアルベド(反射率)が地面よりも低く、太陽光を吸収するからです。
雲は太陽光を反射し、雲の増加は気温を低下させます。雲の発生には宇宙線が影響しており、宇宙線の強弱は太陽磁気によって変化します。
大気中のエアロゾル(微粒子)もまた、気温低下の要因です。着色エアロゾルは逆に、気温を上昇させます。
気候変動の要因は他にも太陽の活動、火山活動、北極振動、ミランコビッチ・サイクルなど数多くあります。気候はあまりにも複雑であり、IPCCのコンピュータ・シミュレーションでは再現できません。科学には限界があるのです。

温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書は、EU(ヨーロッパ連合)に有利な1990年を基準に定められています。大量排出国が批准しなかったり、発展途上国に削減目標がなかったりと、結局は日本だけが実質的な削減義務を負う不平等条約です。
排出権取引とは、排出量を超過した国が達成した国から排出権を買うだけで、実質的に二酸化炭素が削減されるわけではありません。
サブプライムローン崩壊に端を発した世界的な金融不安と同様、近い将来、科学的根拠のない排出権取引が崩壊して世界経済を混乱に陥れるかもしれません。

地球温暖化論のウソ(科学的な誤り)については伊藤氏が、ワナ(政治的な思惑)の部分を渡辺氏が執筆しています。
ウソとワナという扇動的なタイトルが付いていますが、本書の内容は極めて冷静です。
データが豊富で、地球科学に関心を持つ全ての方にオススメできます。
ただ、誤字が多数見受けられるのが残念。

(10月12日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
マルクスさんとマルサスさん
地球寒冷化に備えよ!
温暖化詐欺にご用心!(前編)
温暖化詐欺にご用心!(後編)
地球温暖化は繰り返す(前編)
地球温暖化は繰り返す(後編)
マイナス6%の覚悟
地球の現代史・不確かな真実V
不確かな真実U
不確かな真実
悲観も楽観も、いけません。


※注意事項
ラベル:地球温暖化
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2008年10月06日

マルクスさんとマルサスさん

フリーター・派遣社員などの不安定な雇用状態にある人のことを、最近はプレカリアートと呼ぶそうです。
※プレカリアート=プレカリオ(不安定な)+プロレタリアート(労働者)

格差社会が論じられるなか、プロレタリア文学の旗手・小林多喜二の『蟹工船』がブームになり、日本共産党の党員数が増加しています。
ちなみに『蟹工船』が発表されたのは、世界恐慌が始まった1929年です。そして2008年、世界経済はアメリカ発の金融危機に揺れています。
格差社会で復活したマルクス。原材料・食糧価格の高騰で、今度はマルサスが復活するのでしょうか?



科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている 丸山茂徳 著

現在、地球が温暖化傾向にあることは事実です。
しかしながら、地球温暖化CO2主因説を否定する科学者は少なくありません。
プルームテクトニクス(マントルの対流運動による地球内部の変動)を提唱した世界的な地質学者・丸山茂徳氏は、地球惑星科学連合学会のシンポジウムで、地球温暖化に関するアンケートをとりました。その結果、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が主張するように、21世紀の地球が一方的に温暖化すると答えた科学者はわずかに1割。2割の科学者は21世紀は寒冷化すると予測しています(残りの7割はわからないと回答)。

地球温暖化の要因は、影響の大きい順に
@ 太陽の活動度
A 地球磁場
B 火山の噴火
C ミランコビッチ・サイクル(地球の公転周期と歳差運動)
D 温室効果ガス
温暖化のメカニズムについては前著『『地球温暖化』論に騙されるな!』を踏襲していますが、本書の方が図表が多くて解りやすいでしょう。
もちろん二酸化炭素の増加は温暖化の要因ですが、本書によると二酸化炭素が1ppm増えることによる気温の上昇は0.004℃でしかありません(現在の二酸化炭素濃度は0.038%=380ppm)。ただ、0.004℃の根拠については詳しい説明が欲しいところ。

実はこの本、タイトルに反して地球温暖化について書かれたのは第一章のみ。大部分は、丸山氏が最も懸念する人類の危機に充てられています。それは人口増加です。
1798年、トマス・マルサスは『人口論』で「人口は幾何級数的に増加するが、生活物資は算術級数にしか増加しない」と主張しました。
21世紀の現在、地球の人口は60億を超えました。このまま人口が増え続ければ、やがて石油の増産が追いつかなくなります(ローマクラブの予測では2020年)。
過去の人類の歴史は、資源・食糧の不足によって文明が衰退し、戦争を引き起こしてきました。丸山氏は太平洋戦争の原因も、政治家の責任や軍部の暴走ではなく、日本の人口増加にあるといいます。

いま必要なのは人口抑制策であり、そのためには世界統一政府が必要であると唱える丸山氏。アメリカを理想とし、軍事力を背景に全世界を民主主義化することを是とします。自らの理想社会を描こうとする余り、暴走。
生物が環境に適応するには多様性が必要ですが、一定の割合で犯罪者が存在することは「人間という生物の多様性のなせる業であり、健全な社会の証」という発言も。
まあ、学問の健全な発展には思想の多様性は保たれるべきですから…(笑)
「毒書」好きの方は大いに楽しめます。

(10月6日読了)

【不純文學交遊録・過去記事】
地球寒冷化に備えよ!
温暖化詐欺にご用心!(前編)
温暖化詐欺にご用心!(後編)
地球温暖化は繰り返す(前編)
地球温暖化は繰り返す(後編)
悪魔は目を覚ますのか?
マイナス6%の覚悟
地球の現代史・不確かな真実V
不確かな真実U
不確かな真実
悲観も楽観も、いけません。
ラベル:地球温暖化
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