2011年10月16日

越の国の大首長

現在の北陸地方と新潟県は「越の国」と呼ばれていました。福井県坂井市には北陸地方最大の前方後円墳である六呂瀬山1号墳(墳丘長約140m)があり、第26代継体天皇の生母・振姫(第11代垂仁天皇7世孫)を輩出した一族の大首長墓であるとの説があります。

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六呂瀬山古墳群(福井県坂井市)

長年にわたって福井県の遺跡発掘を主導してきた青木豊昭氏(福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館元館長)の講演会が、10月16日に鯖江市まなべの館で開催されました。演題は「今北山古墳群と越の大首長」。現在進行中の今北山・磯部・弁財天古墳群(福井県鯖江市)の発掘成果とともに、越の国の古墳時代について熱弁を奮いました。
今北山古墳は墳丘長約78m、前方部が撥(ばち)型に広がった初期の前方後円墳です。有名な箸墓古墳(奈良県桜井市)と同じ形状であり、この地が早くから開けていたことを意味します。近々、市指定史跡から(県指定を飛び越えて)国指定史跡に昇格するとのこと。
発見された当初、今北山古墳は隣り合った円墳と方墳だと思われていました。若き日の青木さんが、ひとつの前方後円墳であることに気付いたのです。「先人の業績にケチを付けて、覆していくのが二番手の楽しみ(笑)」と語る青木さん。その後も次々と県内の考古学界を塗り替えていきました。
先述の六呂瀬山古墳群は、国道364号線の建設による崩壊の危機に直面しましたが、青木さんたちの尽力によって古墳の下にトンネルが掘られることになり、全ての古墳が保存されました。

会場には、青木さんの私物である三角縁神獣鏡と銅鐸が登場。真新しい光沢があるので一目で複製品だと判りましたが、それでも30万円はするそうです。講演で使う教材として購入したのだとか。
今回の講演は、さばえ遺跡発掘速報展(10月6日〜23日)の一環として行われました。冒頭で青木さんは、新聞の一面を飾るような新発見があったと宣言。詳しくはまだ明らかに出来ないのですが、弁財天古墳群周辺の壕の跡から弥生土器の破片が見つかり、倭国大乱との関連が想起される高地性環壕集落だった可能性があるそうです。
今北山古墳群・磯部古墳群・弁財天古墳群

【不純文學交遊録・過去記事】
またまた古墳と交遊


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2011年10月09日

地震はナマズのせいだと言ったのは誰?

3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震から7ヶ月。マグニチュード9.0という国内観測史上最大の規模と大津波による未曽有の災害は、平安時代の869年7月13日(貞観11年5月26日)に起こった巨大地震の再来であると考えられています。
このたびの大震災を教訓に、過去の地震における津波の記録が改めて見直されるようになりました。
私たちは地球の歴史から何を学ぶことができるのか。10月9日、福井県立恐竜博物館にて産業技術総合研究所招聘研究員・寒川旭氏(地震地質学・地震考古学)が「大地に刻まれた地震痕跡」と題して講演しました。
(管理人は年間パスポートを持っているので、1500円で何度でも入館できます)

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震災からの復興を願って博物館近くに現れた和紙恐竜。がんばろう日本!

貞観の大地震は、菅原道真らが編纂した正史『日本三代実録』に記されています。9世紀の日本列島は地震・火山の活動期でした。864年(貞観6年)には、富士山の有史以来最大規模の噴火も起こっています。貞観の大噴火による溶岩流で出来たのが、現在の青木ヶ原です。
戦国時代にも数々の大地震が記録されています。1586年の天正地震では、富山県の木舟城にいた前田秀継(前田利家の弟)が圧死、岐阜県の帰雲城では内ヶ嶋氏理が一族もろとも山崩れで滅亡しました。そのとき豊臣秀吉は滋賀県の坂本城で地震に遭い、一目散に大坂城へ逃げ帰ったといいます。
のちに秀吉は、伏見城を普請する際「なまつ(鯰)大事」と書状に記し、耐震補強の重要性を説いています。これが地震をナマズに見立てた最古の史料です。
しかし1596年の慶長伏見地震で、伏見城は脆くも倒壊。真の継体天皇陵である可能性が高い今城塚古墳も、墳丘が大きく崩壊しました。現在、宮内庁は太田茶臼山古墳を継体天皇陵に指定していますが、中世以前は今城塚古墳だとされていました。地震で崩壊した今城塚古墳は、天皇陵に相応しくないと考えられたのかもしれません。

東日本大震災では、千葉県浦安市をはじめ各地で液状化現象による被害が報告されました。液状化現象は人工の埋め立て地で起こるものとばかり思っていたのですが、全国の遺跡発掘現場からは過去の地震で発生した液状化現象による噴砂の痕跡が見つかっています。日本列島に安全な場所は無いのですね…
100〜150年周期で訪れる地震の活動期は、不思議と歴史の転換期に重なっています。次なる活動期と予想される21世紀の半ば、日本はどんな時代を迎えているのでしょうか。
寒川さんは少年時代に漫画家を目指していたそうで、講演でも見事な自作のスライドを披露してくれました。ちなみに漫画を描くときのペンネームは、本名を逆さにした旭川寒(あさひかわ・さむい)だそうです。


【余談】埼玉県の秩父地域は、周辺で大きな地震が起こっても揺れが小さいのだとか…
秩父地方の地震に対する優位性(PDF)株式会社リテラ

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2011年08月16日

森と芸術

実は美術館には、あまり行ったことがないんです。
一般的な絵画や彫刻には興味をそそられなくて。
しかし、久しぶりに行ってみたくなる展覧会が催されました。



福井県立美術館『森と芸術』PDF

8月15日、美術評論家・仏文学者の巌谷國士が監修する『森と芸術』を観てきました。
豊かな生命を育み、人類に恵みをもたらしてきた、森。人類が森を離れ、文明を築いてからも、森は様々なイマジネーションを呼び起こします。
美術と博物をクロスオーバーさせた展覧会が、私の好みに合うようです。

展示は、8つのゾーンから構成されています。
アダムとエヴァが生まれた、楽園としての森。
神々や妖精たちが暮らす、神話と伝説の森。
近代に入って風景そのものが絵画の主題となった、風景画のなかの森。
シンボルとして装飾的に扱われた、アールヌーヴォーと象徴の森。
神話の世界を人工的に再現した、庭園と「聖なる森」。
『赤ずきんちゃん』や『不思議の国のアリス』など、メルヘンと絵本の森。
現実の模倣でも抽象でもない超現実を描いた、シュルレアリスムの森。
そして岡本太郎やジブリのアニメに影響を与えた、日本列島の森。

展示されている作品は、超メジャー級の作家がズラリ。
デューラー、ゴーギャン、ルソーの絵画。
エミール・ガレ、ドーム兄弟の器。
マン・レイ、マグリットらシュルレアリスムの巨匠。
これは行って良かったと満足できる内容でした。

『森と芸術』は、東京都庭園美術館(4月16日−7月3日)を皮切りに、福井県立美術館(7月29日−8月28日)、札幌芸術の森美術館(9月3日−10月23日)の全国3ヶ所を巡回しています。
図録は平凡社から出版されており、一冊の書物としても読みごたえがあります。展覧会に行けなかった方は、こちらで幻想的な森の雰囲気を味わってください。
posted by 【電脳呆人】不純総合研究所 at 19:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 書を捨てて街へ出る会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月24日

古墳はタイムカプセル

管理人は、なぜか古墳が好きです。ひとことで言えば、昔の人のお墓なのに。
前方後円墳という独特の形状に加え、古代のタイムカプセルというイメージにロマンを感じるからでしょうか。

古墳のことならこの一冊でなんでもわかると言わんばかりの、ストレートなタイトル。ただし、大仙古墳(伝仁徳天皇陵)や箸墓古墳といった畿内の巨大古墳ではなく、地方の首長墳の事例を多く採り上げているのが本書の特徴といえます。

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古墳には大きく分けて2度の変革期があります。
4世紀末には、副葬品が鏡や石製品などの呪術的なものから、武具・馬具に変化します。高句麗との交戦が、倭国に軍備の革新を急がせました。溝口睦子・武澤秀一のタカミムスヒ論と共通する歴史観です。
5世紀後半になると、畿内大王陵に匹敵する規模をもった地域首長墳がなくなります。大和政権の地方豪族に対する優位が確定した雄略天皇の治世に相当する時代です。武具・農具には、鉄器技術の革新が顕著にみられます。
そして前方後円墳が終焉を迎えるのは、西日本では6世紀後半、東日本では7世紀初頭でした。畿内政権の強権によって、です。

最新の発掘成果も反映されています。
昨年9月に八角形古墳であることが判明し、斉明天皇陵である可能性が高まった奈良県明日香村の牽牛子塚古墳。八角形は天皇陵クラスの証であると考えられますが、地方にも八角形古墳が存在するため、引き続き検討が必要なようです。

(6月5日読了)
ラベル:古墳
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2011年07月10日

恐竜は種類が多すぎる

映画『ジュラシック・パーク』のテクニカルアドバイザーであり、主人公アラン・グラントのモデルとなったアメリカの古生物学者ジャック・ホーナー博士(モンタナ州立大学付属ロッキー博物館)が来日しました。博士は、子育て恐竜として知られるマイアサウラ(良母トカゲの意)の記載者でもあります。
7月10日、福井県立恐竜博物館の特別展「新説恐竜の成長」で、ホーナー博士が「Dinosaur Shapeshifting −変身する恐竜たち−」と題して記念講演を行いました。

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このトリケラトプスは幼体?成体?(答えは特別展を見てね)

ホーナー博士の持論は「あまりにも恐竜の種類が多すぎる」です。博士は、これまで別々の種類として記載されてきた恐竜の化石が、成長段階の異なる同一種であることを明らかにしてきました。
同じ地層から発掘された、大きさが異なる良く似た恐竜の化石。骨の断面を調べてみると、小さい固体は構造がスポンジ状で、急速な成長の過程にあることが判りました。一方、大きい固体の骨は成長を終えていました。例えば、トリケラトプスとトロサウルスは別の種類だとされてきましたが、実はトロサウルスとはフリルの大きく成長したトリケラトプスであることが判明したのです。
こうして幾つかの恐竜は、図鑑から姿を消しました。博士は、現在知られている恐竜(約800〜1000種)のうち、3分の1は姿を消すだろうと述べています。

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サインに応じるホーナー博士

今回の特別展には、世界最大(1.5m)のティラノサウルスの頭骨や、さまざまな成長段階のトリケラトプスの頭骨など、モンタナ州立大学付属ロッキー博物館が所蔵する貴重な標本が展示されています。
ティラノサウルスは成長とともに歯が大きくなり、歯列の数は減っていきました。大きく丈夫な歯は骨を噛み砕くのに適しており、ホーナー博士はティラノサウルスの成体がスカベンジャー(屍肉食)だったとの説を唱えています。ティラノサウルスは幼体が獲物を追い立て、成体が待ち伏せして狩りをしていたとの説に対し、証拠がないとして博士は否定的です。
リアルなアニマトロニクス(恐竜ロボット)も特別展の目玉ですが、個人的にはロボットよりも実物化石を多く見たかったですね。トリケラトプスの死体(模型)は、かなりグロいので注意!
平成23年度 福井県立恐竜博物館特別展「新説恐竜の成長」
7月8日(金)〜10月10日(祝)
 福井県立恐竜博物館

最近、ティラノサウルスの幼体には羽毛があったとの説があるようです。
そこで私は、鳥類は羽毛恐竜がネオテニー(幼形成熟)で進化したのではないかとのトンデモ説を思いつきました(笑)。


ラベル:恐竜
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2011年07月01日

絶滅危惧少女

オンライン書店ビーケーワンのメールマガジンで知った、荻原規子のファンタジー小説『RDG』(レッドデータガール)シリーズ。
レッドデータといえば、動植物の絶滅危惧種を意味します。稀少な動植物を採集・保護して未来へと遺す物語かな…と思いきや、バリバリの横文字タイトルにも関わらず、日本の神話・民俗世界をベースにした和風ファンタジーなんだとか。『角川銀のさじ』シリーズというジュブナイル向けレーベルの作品ですが、これは是非とも読んでみたくなりました。

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世界遺産に登録された熊野古道に建つ玉倉神社。
鈴原泉水子は、宮司である祖父と一緒に暮らしています。父はIT企業のプログラマーで、2年前にシリコンバレーへ渡って帰国することは稀。母は警視庁公安部で潜入捜査に従事しているため、なかなか連絡が取れません。
玉倉神社は標高千メートルもの山頂近くにあり、中学校への通学は黒塗りのセダンでの送り迎え。通学に時間がかかるので部活動に入ることができず、同級生の家に遊びに行ったこともありません。泉水子は、生まれてから一度も山を下りたことがないのです。

そんな泉水子が中学3年生になり、修学旅行の季節がやってきました。
生まれて初めて山を下り、大都会・東京へと向かいます。
泉水子は極度の引っ込み思案で、運動が大の苦手。パソコンや携帯電話も使えません。まるで現代に迷い込んだ古代人のような泉水子ですが、実は電子機器をフリーズさせる特殊な能力があるようです。
泉水子のもつ特殊な能力の正体とは、そして彼女の家系に秘められた謎とは…

荻原規子は『勾玉』シリーズなど、日本神話を題材にした物語を得意とする作家。
『RDG』シリーズは2008年から年1作のペースで刊行されてきましたが、今年は5月の第4作に続いて、秋には第5作も出る予定。さらには大人の読者を狙っての(?)文庫化も始まるなど、一大攻勢を掛けてきています。今年下半期は『RDG』シリーズが、出版界を席巻しそうな予感。
第1作『はじめてのお使い』は、これから始まる物語のあらましという感じ。この先どんな展開が待ち構えているのか、とても気になります。

(6月16日読了)★★★★



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2011年06月29日

伊勢神宮に隠されたもの

法隆寺の中門には、なぜか真ん中に柱が建っています。哲学者の梅原猛は『隠された十字架』で、柱は非業の死を遂げた聖徳太子の怨霊を封じ込めたものだと主張し、一大論争を巻き起こしました。
近年、建築家の立場から法隆寺中門の柱を考察して話題となったのが、武澤秀一の『法隆寺の謎を解く』です。今度は同じちくま新書から、伊勢神宮の成立をめぐる著作を発表しました。

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伊勢神宮は、皇祖神・天照大神(以下、アマテラス)を祀った最も権威ある神社です。その起源を探ることは、日本国誕生の歴史を明らかにすることであります。
もともと、皇祖神はタカミムスヒでした。大和朝廷はたびたび朝鮮半島への軍事介入を行いましたが、高句麗軍に敗退します。軍事力の強化を図る大和朝廷は、北方の騎馬民族が信奉する天の神=タカミムスヒを、国家統一のイデオロギーとして輸入しました。皇祖神がアマテラスとなったのは、天武天皇の時代以降です。
論旨は、以前に交遊した溝口睦子の『アマテラスの誕生』(岩波新書)を踏襲しています。

本書は、神社をその起源からふたつに分類します。
ひとつは野外の磐座から派生した「ヒモロギ系」で、伊勢神宮に代表されます。
もうひとつは神と人が同じ建物で寝起きする神人共床の慣行から発展した「居館系」で、出雲大社がその代表です。
もともとは大王の宮殿や豪族の居館で神を祀っていたのですが、やがてそれは大王(天皇)の特権となります。しかし、出雲大社からは特権を剥奪できませんでした。
そうなると著者の次なるテーマは、出雲大社の謎でしょうか?

本書のクライマックスは、隠された「心の御柱」の意味でしょう。
今回は歴史学・神話学からの正攻法のアプローチであり、建築家ならではの視点は少ない気がします。個人的には溝口睦子の『アマテラスの誕生』を読んだ後では新鮮味は薄く、前著『法隆寺の謎を解く』ほどには楽しめませんでした。
なお著者・武澤秀一は、天武天皇と天智天皇は兄弟ではなかったとする立場のようです。

(5月16日読了)★★★

【不純文學交遊録・過去記事】
アマテラスとタカミムスヒ
ふたつの法隆寺
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2011年06月27日

初心者は絶対に読んではいけません

第64回日本推理作家協会賞は、麻耶雄嵩の『隻眼の少女』が受賞しました。
麻耶雄嵩といえば、ミステリという小説の形式そのものを問う問題作・実験作(メタ・ミステリやアンチ・ミステリと呼ばれる)で知られています。『隻眼の少女』で彼の作品に初めて触れた読者は、その結末に驚愕したことでしょう。
しかしながらリピーターにとっては、ミステリの枠組を破壊するようなプロットこそが、彼の持ち味なのであります。

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麻耶雄嵩の作品の多くで探偵役を務めるのが、シルクハットにタキシードがトレードマークのメルカトル鮎。自ら銘探偵と名乗り、無謬の推理を誇る倣岸不遜な男です。
日本推理作家協会賞受賞後第一作『メルカトルかく語りき』は、銘探偵メルカトル鮎が超絶の推理を繰り広げる5つの難事件を収めた短編集。いずれも精緻なロジックを積み重ねた完璧な推理でありながら、最終的に導き出される結論は、ミステリ小説にあってはならないもの。
メルカトルファンなら思わずニヤリ。そうでない人にとっては、理解の範疇をはるかに超えた前衛的な作品です。ビギナーは絶対に読んではいけません!

※この先、麻耶雄嵩ビギナーの方はご注意ください。


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ラベル:麻耶雄嵩
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2011年06月24日

名前の秘密

忠臣蔵でおなじみの吉良上野介は、江戸幕府の高家という高貴な家柄なのに、なぜ「介」なんだろうと疑問に思ったことがあります。
上野介とは上野国の国司ですが、国司には守(かみ)・介(すけ)・掾(じょう)・目(さかん)等の階級があり、介は2番目です。〇〇守と名乗る大名は、いくらでもいるにも関わらず。



同様に織田信長も「織田上総介」を名乗っており、ナンバー1の上総守ではありません。
後になって知ったのですが、実は上野・上総・常陸の三国は親王任国といって、親王(天皇の子)しか国守になれませんでした。しかし親王は現地に赴任しなかったので、その職務はナンバー2の介が代行しました。つまり上記三国においては、介が実質的な最高位だったのです。

上記の親王任国をはじめ、実名である諱(いみな)は「忌み名」であって実際に呼ばれることはなかったなど、日本の歴史における名前のルールを語る本。なんとなく読み始めたのですが、名前をめぐる薀蓄は、知れば知るほど面白いものです。外国人の名前、インターネットにおける匿名の在り方についても一章を割いています。

ちなみに著者・小谷野敦の読みは「こやの・とん」で、実名は「あつし」であります。

(5月15日読了)★★★★
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2011年06月20日

地球規模のミステリ

密室だのアリバイだの、そんなせせこましい事件はもう飽きた。もっとスケールの大きなミステリが読みたいとお嘆きの貴方。
あるんです。地球規模のトリックを仕掛けた壮大なミステリが。

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本作は『バミューダ海域のドラゴン』と『熱砂の摩天楼』の二話を収録。

極秘の最新機器を搭載したアメリカ空軍輸送機が消息を絶ちました。国家の威信を揺るがす事件を秘密裏に解決すべく、情報保安局総合調査課のリリー・クレメンタインは、ウェルズリー工科大学特任教授“Drショーイン”に接触を図ります。
リリーの前に姿を現した教授は、どう見ても子供。しかし“Drショーイン”こと松蔭クルトは、13歳にして工学・生物学・考古学・宇宙物理学など八つの博士号をもつ天才少年なのです。
輸送機が消息を絶った場所は、不可解な遭難事故が多発していることで名高い、かのバミューダ・トライアングル。そしてレーダーに映し出されたドラゴンの姿。輸送機を墜落させたのは、未知なる巨大生物の仕業なのか…
場所が場所だけに「さあ、ここから先はトンデモ全開か?!」と思いきや、事件は見事なまでにロジカルな解決へと導かれるのです。地球規模で仕掛けられた陰謀も圧巻。

後半の『熱砂の摩天楼』では、ショーインが考古学者ぶりを発揮。古代ペルーのシカン文明が遺した呪われたピラミッドの謎に挑みます。
超絶的なスケールの『バミューダ海域のドラゴン』を読んでしまった後では、サプライズ度はそれほどでもありませんが、こちらもサイエンスとミステリが融合した知的な謎解きを堪能できます。

(5月8日読了)★★★★
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